このプロジェクトについて

多様な分野の協働による「まちづくり」の必要性
近年、大阪府内をはじめ全国で外国人住民が増加しており、就労のみならず家族帯同や永住など「定住化」の傾向が進んでいます。少子高齢化や労働人口の減少が進む日本社会において、外国人住民は地域社会や産業を支える重要な生活者となっています。
しかしながら、自治会や町内会、NPOやボランティア活動など地域コミュニティでは、高齢化や加入率の低下により担い手不足が深刻化しています。一方で、「外国人住民の地域活動に関する実態調査」では多くの外国人住民が地域と関わり、社会に貢献したいという意欲を持っていることが明らかになっています。これらのことから、地域コミュニティの担い手不足と外国人住民の地域活動への参加意欲を結びつけることで、人手不足と孤立という双方の課題を補い合う可能性があります。
外国人住民を「支援する対象」ではなく、「地域を共に創る主体者」として位置づけ、祭りや防災活動、環境美化活動などを通じて日本人住民と協働できる機会を広げることが重要です。 そのためには、「福祉」や「多文化共生」、「まちづくり」などの分野を横断した連携を進めることで、誰一人取り残さない「地域共生社会」の実現につながると考えられます。
「重層的支援体制整備事業」を活かした
分野横断的な連携の急務
現在、属性や世代を問わず複雑化したニーズを丸ごと受け止める「重層的支援体制整備事業」が各市で進められています。しかし、外国人住民への対応においては、まだ「福祉」「多文化共生」「まちづくり」といった行政や支援機関の縦割りの壁が存在している現状があります。この現状を打開するには、「福祉」「多文化共生」「まちづくり」に取り組む機関や団体、市民が分野を横断して連携し、フラットな関係で協働する仕組みを「今つくる」ことが必要です。このことは、今後のまちづくりの支柱である、誰ひとり取り残さない「地域共生社会」の理念の推進と共に、実質的なセーフティネットを築くうえで極めて重要かつ急務な取組みといえます。
外国人住民の現状と課題

現状/在留外国人の増加と地域社会への「定住化」
日本国内の在留外国人数は約395万人(2025年6月、法務省出入国在留管理庁)に達し、過去最高を更新し続けています。中でも大阪府内の在留外国人数は36万人を超え、東京都に次いで全国第2位の規模となっています。2024(令和6)年度の大阪府内のデータによれば317,421人となっており、前年比5.3%増と近年着実な増加傾向を示しています。
この増加の背景には、就労を目的とした在留資格者の増加があります。
さらに、2027(令和9)年からは現行の「技能実習制度」に代わり、外国人労働者の定住化と日本社会への統合促進を目的とした「育成就労制度」が開始される予定です。これに加え、専門性・技能を有する外国人材を受け入れるための「特定技能制度」に家族帯同や永住が可能な「特定技能2号」が創設されたことにより、国の方針としても、外国人住民の地域への「定住化」が力強く推し進められています。
こうした状況を受け、2023(令和5)年3月に改正された「大阪府在日外国人施策に関する指針」では、外国人住民を「地域社会を構成する主体的な存在」と位置づけ、「積極的に地域社会に参画できる環境づくり」を行う必要性が謳われています。具体的には、地域に住む外国人住民が主体的に参画し、防災活動や他の外国人住民への支援等の担い手となるための「地域社会への参画支援」が明記されています。
課題/「支援対象」から「共に生きる主体」への転換
2012(平成24)年に外国人登録制度が廃止され、住民基本台帳制度および入管法の改正によって外国人も住民登録の対象となり、外国籍の住民は名実ともに同じ地域の「住民」として行政サービスや福祉の対象となりました。このことは、生活を営むうえで、外国人住民は単なる「支援対象(客体)」ではなく、「ともに生きる豊かな地域社会」を創造する主体ということであり、地域の活動に参加する権利を持つという大きな意味を持っています。
しかし、現場の実態はこれに追いついていません。2022(令和4)年度の「大阪市外国人住民アンケート調査」によれば、「生活で困っていること・知りたい情報」として、「日本人と交流したい」(約17%)、「地域のイベント情報」(約13%)、「ボランティアや市民団体について」(約13%)と、地域との関わりを求める声が多く挙げられています。それにも関わらず、「地域の活動に参加していない」と回答した割合は6割にのぼります。不参加の理由としては、「活動内容を知らない」(4割)、「参加したいが活動に参加する方法を知らない」(2割)が上位を占めており、参加意欲はあるものの「接点」や「情報」がないために行動に移せないという、理念と実態の大きな乖離が浮き彫りとなっています。
このような現状から、誰もが地域で安心して暮らせる地域福祉を向上させるためには、外国人住民の増加に伴う地域社会の構造変化を念頭に置いた「まちづくり」の視点が欠かせません。 現在、外国人住民を客体として支援する多文化共生施策や福祉施策は整備されつつありますが、彼らが主体となって地域活動に参加するための環境整備は未だ不十分です。日本人と共に外国人住民も「地域共生社会」を支える「担い手」となるためには、福祉と多文化共生の視点を融合させ、「参加」と「協働」に基づく具体的な「まちづくり」への参画の仕組みの構築が急務となっています。
実態調査概要

調査を行った市について
池田市、豊中市(豊能地域)/吹田市、摂津市(三島地域)/交野市(北河内地域)/八尾市(中河内地域)/堺市(泉北地域)/富田林市(南河内地域)/泉佐野市(泉南地域)
※本調査では、大阪府の地域ブロックである豊能地域、三島地域、北河内地域、中河内地域、南河内地域、泉北地域、泉南地域の各地域から、1市(または2市)を選定し、調査を実施した。
期間
2025(令和7)年4月~12月
内容
・外国人住民を対象にした地域活動への参加ニーズに関するヒアリング
・地域住民を対象にした外国人住民との共生に関する課題のヒアリング
・行政や社会福祉協議会、国際交流協会、NPO支援組織等へのヒアリングによる地域活動への参加の仕組みづくりに必要なデータの収集
調査先箇所
実態調査報告書
